「 嫁ブリ (よか嫁御振り)」ってご存知でしょうか?

元々は九州北部の風習で、結婚後初めての正月前に旦那さんの実家から嫁の実家へ、鰤(ブリ)一本(大きければ大きいほど良い)を贈るという風習です。

「よか嫁御振り」とは「本当によいお嫁さんです、がんばっていますよ。ありがとうございます。」という意味で、「良い嫁御振り(ブリ)」の振りを魚のブリと掛けたダジャレが元で「 嫁ブリ 」となったようです。

簡単に言うと結婚後初めての正月前に嫁ぎ先(旦那様側)の家から嫁の実家へ「良いお嫁さんを下さってありがとう。」という気持ちを表す為にブリを丸ごと贈るというものです。

調べて見るとこの風習があるのは九州北部と岡山としかありませんでしたが、この 嫁ブリ の風習がなぜか境港では今でも行われています。

境港は九州出身の漁師さんが多いので、その方達が境港でも「嫁ブリ」のを続けた結果、境港でも風習が土着したのかも知れません。

場所によって少し風習に違いがあるようで、もう亡くなられた当店のお客様は息子様の奥さんの実家に初めての正月前だけでなく毎年嫁ブリを贈っていました。

嫁ブリ(よか嫁御振り)
7.5Kgの締めたて「嫁ブリ(よか嫁御振り)」

これが大きければ大きい方が良いというのも時代と共に変わってきていまして、最近は大きなブリを丸ごと贈っても一般家庭では捌くのが大変だから3枚におろして欲しいと仰られる方が多くなりました。

また、あんまり大きいものを頂いても手に余るということで、手頃な4~5Kg程度のマルゴ(境港の方言でブリの一つ小さいサイズ)を贈る方もいらっしゃいます。

今回の嫁ブリは7.5Kg程のブリで、まだ絞められて間もなくて血がエラから出ていました。

このお客様も当初はもっと大きいものが欲しいと仰っていましたが、そんな大きなブリは贈った先では捌けないと我に返ったようで、このサイズでしかも3枚おろしに落ち着きました。

今は風習自体を知らない若い方も増えてきていますが、一昔前は「嫁ブリ」を贈らないと「うちの娘は良い嫁ではないのか?」と嫁側の実家が激怒する事もあったようです。

それに今は地方出身の女性が東京出身の男性と結婚するなんて普通にありますので、旦那さんの実家が「嫁ブリ」の風習を知らなくても不思議でもなんでもないです。

正月にゴズの昆布巻きや赤貝(サルボウ貝)などの料理を食べる習慣もありますし、境港には色んな風習がありますね。

ブリ三枚おろしの手順はまず鱗取りからですが、この時に金ダワシを使うと身が傷んでしまうので当店は包丁で丁寧に取ってやります。

7.5Kgのブリでも捌くのに結構体力が要りますので、10Kgオーバーを贈られたら結構大変だと思いますし、何より捌く包丁が必要になってきますね~。

これはもう完全に男の仕事ですねw、嫁ブリも捌くのはお嫁さんの実家の男の仕事だったんじゃないでしょうか。

綺麗な身をしたブリでした。

あらももちろん美味しく頂けますので身とは別に梱包します。

嫁ブリ(よか嫁御ぶり)もこうやって3枚におろしてあれば後は簡単な料理だけで食べられますので、贈られた側も構える必要がありませんねw

こういった風習はやっぱりずっと残っていてほしいですね。

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