カニの水揚げ日本一の境漁港(境港市)の主力である ベニズワイガニ の価格高騰が止まらない。9月の解禁から11月末までの1ケース(30キロ)当たりの平均単価は1万4800円で、前年同期比24%アップ。12月に入り2万円を突破した。

 

ロシア、韓国などからの輸入が激減し、国内のカニ全般が品薄になっているためで、加工業者や料理店からは「異常な高値」と悲鳴が上がっている。

 

日本海かにかご漁業協会(境港市)によると、9~11月の境漁港の水揚げ量は1864トン。荒天や一部漁船の出遅れもあって、前年同期比17%減に落ち込んだ。

 

一方、水揚げ金額は9億2300万円で4%増。

1ケース平均1万4800円は前年同期より2900円の高値。11月以降急騰し、12月に入ってからの平均単価は2万円の大台を軽々突破している。

 

ベニズワイガニの価格高騰は、2014年12月に発効した「水産物の密漁・密輸出対策に関する日露協定」で、ロシアからのタラバガニやズワイガニの輸入が激減したのが大きな要因。代用品としてベニズワイガニの需要が増えた。

 

さらに昨年からは韓国のベニズワイガニ漁の不振で、加工用の製品が日本に入らなくなり拍車を掛けているという。

 

同協会の古木均専務は「3、4年前は1ケース7千~8千円程度だったが、今年は2万円台も珍しくなくなっている。

 

鳥取県外での知名度も上がり、これまで95%は加工に回っていたが、今期は10%以上が鮮魚に回るのでは」と予想。「適正価格以上の高騰は生産者にとっても好ましくない。ここまで高騰すると反動が怖い」と警戒感もにじませる。

 

ベニズワイガニ加工販売業者で、境港カニ水揚げ日本一PR実行委員会の越河彰統会長は「原料が足りないので、損をしてでも買っているが、製品への価格転嫁には限度がある。これ以上高くなると製品を作る企業が減り、ベニガニ離れにもつながりかねない」と危惧。

「例年11~12月が価格高騰の時期なので、1月になると落ち着くと信じている」と今後の漁獲に期待する。

 

一方、価格の高騰はご当地グルメ「新かにめし」も直撃。昨年1300円から1500円に値上げしたが、このところの高騰で提供を見合わせる飲食店も。境港ベニズワイガニ料理推進協議会の川口利之会長は「ベニズワイガニの価値が認められてきたのはうれしいが、今の高値は異常」と話した。

 

境漁港には鳥取、島根、新潟3県のカニかご漁船11隻がベニズワイガニを水揚げしている。昨漁期(16年9月~17年6月)は7780トンで、全国の水揚げ量の66%を占めた。(久保田恭子)

 

引用 日本海新聞 2017年12月17日

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