大衆魚が高級魚になってきた
イワシ、アジ、サバなど馴染みの魚はもちろんですが、メバルやアカミズ、ワタリガニ(アオデ)、シャコエビなど、昔幾らでも食べれていた魚が、最近では高価になったり、そもそも市場で見かけなくなってきました。
シャコエビなんかはここ何年どころか10年以上食べていません。
昔は塩茹でしたシャコエビが山のように積まれていて、子供の頃に一心不乱に食べた記憶があります。
そのシャコエビも今や市場でも全く見かけません。
シャコエビは乱獲だけが理由で少なくなったのではないそうですが、イワシやアジやサバなどの魚は人間の乱獲が大きな原因と言われています。
イワシやサバやアジなんて安くて美味しい大衆魚だったはずが、今や高級魚になりつつあります。
特にサバは食用にならないローソクサバ、ローメと呼ばれる稚魚を獲り尽くしてしまうのが大きな原因と言われています。
日本の漁業は早い者勝ち、乱獲はなくならない
深刻に考えたことがありませんでしたが、株式会社ウェッジ様が運営するウェッジインフィニティの記事を読んで日本の漁業の深刻さを知りました。
「惨憺たる日本の漁業 実は先進国では成長産業 分かりきった改革がなぜ進まない? 勝川俊雄 (東京海洋大学准教授)」より
日本は漁獲規制が整備されていない為、乱獲により資源を枯渇させてしまっている漁業後進国だと言われています。
後々の事を考えた資源管理をせずに早い者勝ちで魚を獲ってしまうのが当たり前なので、魚を獲り尽くしてしまうんですね。
漁業先進国であるノルウェーでは巻き網でサバを巻いても食用にならないサバは逃がすのですが、日本では絶対にそういうことはありません。
最近境港にサバが大量に水揚げされていますが、殆どがローソクサバやローメと呼ばれる食用にならないサバの稚魚です。
ローメは飼料やマグロの養殖の餌などに使われるため単価が安く、おまけに一度にみんなが獲ってくるので大漁旗は上がりますが競り値は下がり、大漁の水揚げの割には漁獲金額が上がらず不毛な漁になっています。
日本がサバの稚魚であるローメを獲りまくるのと比べ、ノルウェーではサバは食用になる大きさのものしか漁獲しません。
理由はノルウェーのような漁業先進国は資源を持続的に利用する重要さを十分知っているからです。
ローソクサバやローメはあと3年待てば食用になりますし、なにより産卵するので魚資源を増やしてくれます。
また人間が食べる食用として漁獲できるので飼料用と比べ価値が高く、漁獲量(重量)も大きくなります。
日本はもっと漁獲規制をして資源保護を行うべき
東京海洋大学准教授である勝川俊雄氏は3年間、海に泳がせておくだけで、漁獲重量は1.5倍、漁獲金額は4倍に増えるとしています。
「惨憺たる日本の漁業 実は先進国では成長産業 分かりきった改革がなぜ進まない? 勝川俊雄 (東京海洋大学准教授)」より
ノルウェーのサバ漁の状況と比べてみると、ノルウェーで獲れるサバは99%が食用として利用され、餌用はわずか1%未満となっています。
養殖用の餌は大きくなっても価値がないイカナゴなどが利用されています。
いかに魚資源を上手く利用しているかが良く分かりますね~。
反面日本は早い者勝ちであまり価値がない状態の魚を獲り尽くしてしまうので、魚資源を有効活用できていません。
大きくなるまで待ってから獲れば価値が高くなるのにそれが出来ないのは、日本の漁業が基本的に早い者勝ちの獲ったもの勝ちだからです。
日本では水揚げ量が重要視されていますが、ノルウェーは金額を重視するというのも頷けますね。
1970~80年代のニシンの乱獲等で資源を枯渇させてしまった経験から、国家を上げて方向転換した成果が大きく出ています。
日本もようやく資源管理の重要性を理解したのかズワイガニなどでは漁獲制限を行っていますが、もっとどんどん制限して漁業自体を価値のあるものにしなければ、漁業従事者も少なくなって漁業が衰退しますし、何より魚資源が枯渇してしまって庶民がお魚を食べられなくなります。
日本でも既にウナギが獲れなくなってきましたし、境港の身近なものではサルボウ貝、シャコエビ、アオデ、メバル類、アカミズなど魚市場で見かけることが少なくなった魚介類もあります。
漁業先進国は既に資源を持続的に利用する方法を制度として確立しています。
ぜひ日本も早急に制度改革をして漁業先進国の仲間入りをしてほしいところです。