古来“天下五剣”の一つとされてきた鳥取県ゆかりの名刀「太刀 伯耆安綱 (名物童子切安綱(めいぶつどうじぎりやすつな))」(国宝)を、現代刀工の技で複製する取り組みが動き出した。来年の伯耆国「大山開山1300年祭」を記念して作刀を計画。関係者は「永遠に残るものにしたい」と意気込んでいる。
複製を進めているのは、同祭の舞台、大山周辺の文化遺産などの保護に取り組む「祈りの山『大山さん』を守る会」。
昨年初め、同祭を盛り上げようと、大山寺(大山町)で童子切安綱を展示できないか模索したのがきっかけだった。
昨夏、所蔵者の東京国立博物館に打診したが「門外不出」と断られ、断念。
代わりに浮かんだのが、童子切安綱を摸した刀を作り、記念刀として残す案。
県内唯一の刀工である鳥取市の金崎秀壽さんに制作を依頼した。
ただ、刀身に反りがある「日本刀」を手がけた最古級の名工の代表作だけに、複製は容易ではないとすぐ分かった。
伯耆国(鳥取県中西部)出身の安綱は平安時代中期に活躍。
複製を指導する元・県銃砲刀剣類登録審査委委員長、高梨仁作さんによると、刀の地鉄(じがね)の出来を左右する鋼の材質自体、平安期のものは解明できていないという。
大山周辺には、地元で採れる砂鉄を使った「たたら製鉄」の歴史がある。
安綱もそうした鉄を使ったとも考えられるとして、今回は日野町で掘り出された、たたら製鉄の鉄の塊を材料にすることにした。
金崎さんは、童子切安綱の形を墨で写し取った押し型などを基に作刀する予定で、「すごい仕事ができ、感謝している。誠心誠意作らせてもらう」と気合を込めている。
同祭の本格的幕開けとなる来年5月20日の大山寺開創1300年記念特別法要に合わせ、複製の記念刀が公開される予定。
守る会の足立敏雄会長は「安綱に少しでも近づけ、伯耆国の刀の文化を知ってほしい」と話している。
引用 Yahoo ニュース 12/15(金) 7:55配信 大山開山1300年祭を記念 鳥取ゆかりの名刀「童子切安綱」複製へ