春はサヨリ、夏はシイラ・エノハ・シロイカ・アカベ、秋はサンマ、冬はブリ・アンコウ、これは季節ごとにぱっと私の頭に浮かぶ魚の種類になります。
名前があがった魚はごく一部ですが、鮮魚店を営む私はサヨリを見れば春を感じ、シイラを見ると夏を再確認、といった季節の移り変わりを魚の種類で実感します。
これはもちろん人によって違って、季節の移り変わりを路傍に咲く花や飛んでいる鳥で感じる方もいれば、台風・雪といった自然現象で感じる方もいらっしゃいます。
なぜこんな話をするかと言うと写真の「シイラ」が私にとって強烈に夏を感じさせる魚で、最近のうだるような暑さと相まって夏のイメージを強く頭に焼き付かせてくれました。
私にとってシイラがこんなに強烈な夏のイメージの魚になったのは理由があって、一つは以前読んだヘミングウェイの「老人と海」で主人公が大きなカジキマグロと死闘を繰り広げている時に釣り上げていたシイラをナイフで捌いて食べるシーンで、シイラに常夏のキューバのイメージが付いたこと。
もう一つは以前真夏に船で七類沖に釣りに行った時にトビウオを追いかけてジャンプするシイラの群れを見てからですね。
軽めのジグを投げてやると入れ食いでメータークラスのシイラが掛かるのですが、その引きは強烈で海面をジャンプしたりモンローウォークしたりと存分に引っ張りっこを楽しませてくれました。
面白かったのが流れているドンゴロスの様な大きい布にルアーが引っ掛かってしまったので、船で近づいて行ってルアーを外す為にその布を海面でめくってみると大きなシイラが何十匹もビッシリと布の下に並んでいてビックリしたのを覚えています。
シイラは流木などの漂流物の陰に好んで集まる性質があるので、流れている大きな布は絶好の隠れ場だったんでしょうね。
境港の外江地区ではシイラは全く人気がない魚で誰も食べようとしませんw
年配の方が多いので馴染みのない魚は今更食べようと思わないのか、ホント新しいものは好みませんねw
鳥取県では赤崎の方で刺身で食べられるようですが、私個人的にはクセのない甘い刺身は大好きで初物は必ず頂いています。
こちらでは「シイラ」と呼ばれることは少なく「マンサク(万作)」の呼び名で呼ばれています。
これは実らず籾殻だけの稲穂のことを「粃(しいな)」と呼ぶことから、しいな=しいら(とかけて)は縁起悪いので、縁起の良い「(豊年)万作」に言い換えたといわれています。
世界中の暖かい地域で食べられていて、ハワイでは「マヒマヒ」と呼ばれフライやソテーはハワイ名物料理となっています。
足が早い(鮮度が落ちるのが早い)ので新鮮なシイラしか食べられませんが、新鮮なものはぜひ一度刺身やカルパッチョなどで生のシイラを味わってほしいところです。
最近回転ずしのくら寿司などでもマヒマヒ寿司という名前のシイラの握りが食べられるようですので、ぜひ一度挑戦してみてください。
年配の方は全く見向きもしませんが、比較的若い方は抵抗がないようで、刺身やフライで食べられる方が増えてきています。
クセのない白身はフライに最適で一度は挑戦してみる価値ありです。
夏の魚「シイラ」オススメです、ぜひ一度ご賞味ください。
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酢で〆て美味しくいただきます。この時期の奥深い味ですね!
サッパリとした白身ですので酢で〆るのも美味しそうですね。
今年は結構シイラが市場に揚がっていたので、刺身、フライで沢山頂きました。
やっぱり新鮮なシイラは美味しいですね。
こんなに美味しい魚ですが、残念ながらこちら境港ではあまり人気がありませんね。
今度酢で〆て頂いてみます。