時化で魚が獲れない時ほど鮮魚店にとってつまらないことはありません。
と言ってもお天道様の事なのでちっぽけな人間である私が愚痴を言ってもどうにもなりません。
魚が獲れないといってもまるでない訳ではありませんので、あるもので干物を作るのが当店の方針です。
季節的にも天日干しの干物が美味しい季節ですので、せっせと干物を作っております。
トップの写真はべランスガレイの干物で、この境港では干物としてはNO1を競う位の人気のある干物です。
べランスガレイは煮物などで食べられるカレイになりますが、マスカレイなどと比べるとやっぱりちょっと味が落ちます(好みの差もありますが)ので人気はイマイチですが、干物にすると途端に人気のカレイになります。
身が他の魚と比べて水っぽい魚ですが干物にするとその水っぽさも消え、干物の旨味が口いっぱいにひろがる身に変身します。
ある塩分濃度の塩水に一定時間漬けてから干しますが、これが干物の味を大きく左右する作業の一つです。
塩分が濃すぎると辛くてしょっぱいだけの味になってしまいますし、薄いと水っぽくて干しても旨味が引き出せません。
ここが干物作りの腕の見せ所。
この後は串に刺して天日で干してやります。
この干している状態のべランスガレイをべランスガレイ干物中毒のお客様に見つかると、まだ出来上がっていないのにもかかわらず一串から二串は予約購入されます。
まさしくべランスガレイ干物中毒患者w
これはイワシをみりんタレに漬けこんでいる状態です。
みりん干しもこれまたレシピ通りにしても湿度や気温で味が変わるので微調整が必要、中々干物も奥が深い!
真アジの干物、真アジのみりん干し、カマスの干物とどんどん作っていきます。
魚の種類によっても微妙に塩分を変えたりしています。
次はこれをどんどん串に刺して干していきます。
カマスの一夜干しも大変人気がある干物で、この時期は作れば作るだけ売れていきますが、なにぶん天日干しでやっているのと大掛かりな設備は持っていないのでお客様の需要に供給が追い付いていない状態ですね。
なんとかしたいところですね~。
あとは丁度いい具合に乾いてくれるのを待つのみです。
天日干しは夏の間はハエがたかって駄目ですが、今からの寒い季節は干物づくりには絶好のコンディションになります、やっぱり美味しく出来上がります。
干物ってほんといつも思うんですが、本当は魚をいかに長く食べれる状態で保存するかという先人達の知恵から生まれた保存方法の一種だったのが、今や調理方法の一つとなっていてしかも大人気。
先人達の方が実は魚を美味しく食べる方法を知っていたという不思議な状態になっております。
当店の干物を焼いたものです、やっぱり美味しい。
自分たちで作った干物をおいしいと言って何度も購入してくださるお客様がいるって、魚屋冥利に尽きます。
ぜひ一度ご賞味ください。